ばか、うまいら!

「おんな城主直虎」は見るようにしている。
おらが生まれた磐田からはちょっと離れているが、同じ遠江の国、遠州地方の話だからだ。

第3話のなかで竜宮小僧となった、おとわが井戸から水を汲んで手伝いをしたら、餅屋のおじさんから餅をもらった時、
おじさんの会話「ばか、うまいら!」

遠州でうまれて、今は大都会にいる人たちはそりゃあもう鳥肌が立っただいね!
いや、鳥肌がたっただに!
生まれ故郷を想い、涙した遠州人もいるのは間違いない!
おらのアイデンティティはこれだと!

ここでいう「ばか」とは「めちゃめちゃ」とか「すごく」とかの意味
「うまいら」は「うまいでしょ!」と「うまい」を断定しているが、相手に尋ねてもいる。
「ら」が奥ゆかしいのである。

これを同じく遠州弁で断定させる場合は「ばか、うまいに!」となる。

遠州弁は語尾を変えることで微妙な表現ができるわけだ。
「だ」もよく使う。
「おらが言っただ」とか「おらが買っただ」とか断定の言葉もある。
「うまい」という現在形には「だ」をつけない。
過去形の「うまかった」に「だ」をつけて「うまかっただ」ということになる。

おとわが使う言葉で自分のことを「われ」と言ってるけんどあんましこれは聞いたことがない。
もちろん、遠州人は「おら」である。
直虎では「おら」は百姓言葉ということなのか。
遠州人は「おらとおれ」の区別すらつかない。
「おれ」と言っているつもりで「おら」と言ってるのである。

だから遠州人が東京に出てきて、若い女性とデートした時に悲劇が生まれる。
「俺」と言ってるつもりで「おら」と言っているのである。
いくらかっこよくても「おら」では雰囲気をぶちこわす。
横浜の港が見えるホテルのラウンジで夜景を見ながら「おら!きみのことが好きです。おらおらおら」では恋は成就しない。
遠州人は「おら」を合いの手代わりに連続発生するから始末が悪いのである。
また、遠州人には「ぼく」は使えない。なじみがないからだ。
遠州人には「おら」が全ての主張の根源だからだ。

また、このドラマでは、武士以外の人たちは相当、百姓言葉でなまっているが、おとわを始め井伊家の人たちは結構標準語。
これって遠州人をなめていると感じてしまうのだが。
よくわからないところである。

とはいえ毎週、ドラマを見てしまっている。
弟の秀助の話では全国からこの「奥遠州」に観光客がなだれこんでいるらしい。
でも車以外で来たら悲劇となる。
ドラマの最後にアクセスが出ている。浜松駅よりバスでとか。
これって大変だ。バスの本数は少ないし、バスだと1時間は最低かかる。
道路は混んでるし、バスでは勝負にならないし、年寄りには無理である。

この井伊谷という場所は遠州人にとってもまったく馴染みがないところで、今回のドラマで初めて知った人は多いと思う。
直虎はもちろん、オラも知らなかったし、庭がすばらしい龍潭寺は知っていても行ったことがない。

今月末に親父の法事があるので訪れてみたいなと少し思っているわけでして!
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by gsfc_aoshima | 2017-02-10 08:52 | どうでもいい話